経歴とプロフィール
学歴
1960.4〜1964.3: 関西学院大学経済学部卒業
学位
1964.3: 経済学士(関西学院大学)
職歴
1966.4〜1969.3: 愛知大学助手 法経学部
大学での管理職歴
1989.4〜1991.3: 筑波大学 経営・政策科学研究科長
海外での経歴
1972.10〜1973.9: シラキュース大学・ボーリンググリーン州立大学およびミシガン大学経営大学院の 客員研究員
プロフィール 学歴・職歴・社会貢献活動・研究業績などについて個々の事績は、目次の項目に従って 箇条書きにリストアップされているので、このプロフィールでは人物と活動を口述的に 語ることにする。 研究テーマの10年ごとの推移
60年代: 60年代には、まず初めに関西学院大での学部時代には経済学部に籍を置き、
経済学のいわゆる「論・策・史」(理論・政策・歴史)はすべて学んだが、ゼミではケ
インズの金融論を専攻した。次いで、神戸大学の大学院修士課程ではドイツの経営経済
学を学び、シュマーレンバッハを中心とする「分権的意思決定のための企業内部の計算
価格システム」を研究した。愛知大学に赴任した当初に、助手の間に1年間の内地留学を
授与され、神戸大学大学院で米国のバーナードやサイモンの「企業行動科学」も学ぶこ
とができた。
70年代: 70年代に入ってすぐに大阪府立大学経済学部に転任したが、この年代の初め
に米国に1年間、客員研究員として留学する機会を与えられ、主として「数学的意思決定
モデル(主に線形代数によるORモデル)」の研究に傾斜するようになり、管理会計との
関係では「情報システムとしての管理会計モデル」の方向を志向した。
80年代: 80年代の初めにも1年間、米国の大学に今度は客員教授として着任し、81年に
初めて米国の英文ジャーナルに「トヨタ生産方式」の論文を公刊した。筑波大学に転任
してからは、これを契機に80年代には日本のジャストインタイム生産方式から、さらに
日本初の管理会計システムとしてトヨタの原価企画・原価改善、パナソニックの社内資
本金制度、京セラのアメーバ方式などについて調査研究し、海外に次々と発表した。こ
の頃、京都大学の淺沼萬理教授に触発され、日本の自動車産業の部品取引価格に関する
制度も研究した。
90年代前半: 90年代初めには筑波大学から博士号を取得したが、その内容のコアは修
士課程時代の「シャドウプライスによる内部価格システム」を深め、その後の「協力ゲ
ーム理論による利益配分システム」から成る。(後者については、「累積的機会原価法
」と呼ぶ独自の利益配分法も考案した。)
90年代後半と2000年代前半: この頃には、筑波大学の博士課程に来た国費留学生たち
と共同で、JITシステムのアカデミックな数学的モデルの研究と、原価企画や分権的経営
管理に関するアカデミックな統計的実証研究をたくさん行い、海外に積極的に発表して
行った。この頃は、大勢の博士課程院生とともに研究活動に邁進できたお陰で、門田の
筑波大学時代における黄金時代といえるであろう。
2000年代後半と2010年代
(2)「持続可能社会」構築のための「人間と自然との共生」の理念に関する研究:
近年の環境問題に対応しながら「持続可能な社会」の構築のためには、人間と自然と
の関係をどのように見るべきか。京都議定書以来、「環境保全の持続可能な社会」に関
する社会哲学が「人間中心主義」から「人間と自然の共生」という理念に明確に転換し
た。
2つの主要研究テーマによる産業界と学界への寄与
(1)研究面とそれを生かした実務活動では、日本の自動車産業に関する研究と関連す
る諸活動から貴重な実務的知識と経験を得た。ニューヨーク州立大学時代に米国のIndu
strial Engineering協会(AIIE)から発表した論文(1981年)によって、米国の産業界と学
界にジャストインタイム生産方式を初めて体系化して伝えた。AIIEから出版した英文著
書Toyota Production System (1983年) は、今や米国で「JITの古典 」(JIT classic)と
呼ばれており、それは1984年に日本経済新聞と日本経済研究所の「日経・経済図書文化
賞」を受賞し、多数の国で翻訳出版されている。本書はその後、版を重ね、第4版は2012
年に米国の大手出版社Taylor & Francisから出版され、その中国語版も出版されている。
管理会計分野の研究としては、ここでも日本の自動車業界がオリジナルに生んだ「原価
企画」と「原価改善」の技法を1983年に世界で初めて体系化して発表した(登 能暉氏と
の共著)。それを基にして、1991年には米国会計学会(American Accounting Associati
on)の権威ある学会誌に発表できたことも、もう一つの学問的寄与ということができよう。
海外の学界における主な活動 彼の学界における国際的活動は、日本での教職で大学を変わるごとにサバティカルを取 り、米国はニューヨーク州立大学バファロー校(1980〜81)やカリフォルニア州立大学ロス アンゼルス校(1991〜92)での客員教授や、さらに欧州でストックホルム経済大学(1996)で の客員研究員なども含んでいる。さらに、米国の生産管理学会(POMS)の理事や、米国 会計学会 (AAA)の管理会計セクションの理事も務めてきた。 日本の学界における主な活動:日本組織会計学会の創設
日本の学界では、日本管理会計学会の副会長を務めた。2000年8月には管理会計学会編
「管理会計学大辞典」(中央経済社)(2段組 総1000ページ)の編集委員長を務め、献
身的なコア委員であった原田昇・佐藤紘光・小倉昇の3氏とともに約6年間の歳月をか
けてこれをまとめ上げた。この大辞典は、世界的に見わたしても類書はない。また同学
会の学会誌編集委員長も3年間務めた。これらの功績により、2010年に日本管理会計学
会の「特別賞」も授与された。
産業界・社会への寄与
実業界では、彼は1987年に日本の外務省傘下のJICA(国際協力機構)から、シンガポ
ールにトヨタ生産方式を指導(技術移転)する専門家として派遣され、同国での専門家
養成や多くのメーカーの現場指導に従事した。さらに、1998年には同じくJICAからタイ
王国に戦略的コストマネジメント(原価企画と原価改善)の専門家として派遣され、こ
れら日本発のコスト管理の技術移転に尽力した。このほか、中国政府、台湾政府、その
他の政府からも要請されてこれらの指導に赴いた(詳細は、このホームぺージ目次の「
2.政府機関の依頼による社会的活動」や「6.その他の海外講演・技術指導」を参照
されたい。)
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